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  • どうかしている

    今年はいつになく梅雨が長引き、湿っぽい空気に包まれていた。

    朝、7時前後に「元気に育ってくれ、ありがとう」と、鉢植えの植物たちに水やりするのは私の日課である。

    水を満たしたジョウロを持ち上げ、盆栽鉢がのっている木製棚の方へ何気なく目を向けた。

    「あれ、こんな所にセミの抜け殻がある。昨日までなかったのに、抜け殻があるということは、どこかにとまっているかも。」

    蝉は夕方あたりから地中から抜け出て、とまれる場所を探し、体を固定し羽化を始める。背中が割れ始め、体を乾燥させる。飛ぶまでだいたい3~4時間かかる。

    そんなことを考え、ちょっと目を動かした。

    すると、すぐそばの自作の黒くてざらついた小ぶりの盆栽鉢の下の方に、しっかりしがみついていた。

    アブラゼミだ。

    羽根の色が黒っぽい茶色なので気付かなかった。

    完全に同化している。

     

    虫や動物は得物を捕る時、休む時、自分と同じような色や形状の場所に身を置く。

    アブラゼミもここだったら大丈夫かと思い、とまっていたのだろう。

    日中その場所を見ると、どこかに飛んで行ったのか、抜け殻だけがぶら下がっていた。

     

    ジメジメした日々が嘘だったかのように暑い日差しが照り付けるようになった。

    セミたちは待っていましたと言わんばかりに地中から這い上がり、羽化し、日中は蝉時雨を聞かせてくれる。

     

    どこまでも 蝉時雨とは 包まれて  稲畑汀子(いなはた ていこ)

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